今こそ絵本 読んでみない?

大人になってからこそ深く感じる、子どもと読む絵本

それはひとつのソフトクリームから始まった

 

甘いものは世界を救うと思う。

なぜだろう。満たされるよね。

自分の機嫌も取れるし、子どもたちのご褒美にもなる。

苦手な方もいるとは思うが、なんせ私は大好きだ。

 

この『ゴロゴロゴロゴロ』は自然が主役。

表紙は山とお月さまだけ。

しかし物語は「雲」から始まる。

あれ?山とお月さまは??

さぁもうなんかわくわくするのは私だけだろうか。

 

雲や山に顔が描かれているでもないのだが何故か表情が読み取れてしまう。その上、自然同士が話しているのも愛らしい。

途中、幼稚園の子が怖がった描写があるのだが、確かに怖い。

闇を感じる怖さだ。でもそれは自然の天災を連想させている気もした。

そう思うと大人でも恐ろしい。

とはいえ自然界にとって「山」とは大切な存在なのだと解ったお話だった。

 

物語としては展開が早くスピーディーで読み疲れしない。

面白いのは絵の作り方だ。

表紙ではわからないが、中はある素材で描いたものを印刷している。

質感は紙なのだが何度も触りたくなった。それが故に温かみがありつつも妙に自然のリアルさを感じた。

是非読んで確かめてほしい。

物語の途中で雲が製造するスイーツにも注目だ。

 

 

ワクワクさ ☆☆☆☆

読み聞かせ ☆☆☆☆

作り    ☆☆☆☆☆

 

【ゴロゴロゴロゴロ】

あき びんご

大人だって辛い


死を理解することは果たして正しいのか、ふと迷うことがある。

大人になればそれなりに理解はするだろう。いやせざるを得ない。

しかし幼い子には伝え方と時間が大切だ。

 

この『ぼく、いいたいことがあるの』は

大好きだったおばあちゃんを失ってしまった狐の子が、想いを馳せるーーそんなお話。

すごく真っ直ぐで全く荒波は立たない物語なのだが、

絵のタッチが優しく繊細で胸が締め付けられるお話なのになぜだかほっとしてしまう、不思議な絵本だ。

 

とはいえ、涙腺がバカほどゆるくなった私はもう、そう何度も読めないだろう。

 

私も大好きだったおばぁちゃんを亡くしている。幸い大人になってからだったので色々な要素で亡くなった事は理解してるし、こんな事を口にするのは良くないが正直、良い逝きかただったと思う。母も言う。

ただどんな形でも最後のお別れは辛い。

でもその時流した涙はおばぁちゃんを亡くした失望感というより、涙を流しおばぁちゃんに寄り添う母の姿に涙を流していた。

 

……色々書きたかったが涙と鼻水が止まらなくなってきたので、この話はよそう。

 

寝る前に読み聞かせてしまった故に

低学年の子はしゅんとなり、元気のない「おやすみ」を放ち

幼稚園の子に至っては何も言わずそっぽを向いて寝てしまった。

少しすると鼻を啜る音が聞こえた。

この子たちにどう届いたか解らないが、なにせ幼い子に“死”のというものは辛すぎだ。

 

でも時間が

時が凍った心を溶かしてゆく。

そして悲しいかな、またひとつ大人になていく。

 

絵の繊細さ ☆☆☆☆

読み聞かせ ☆☆☆☆

大切    ☆☆☆☆☆

 

 

【ぼく、いいたいことがあるの】

ジャン=フランソワ・セネシャル 文

岡田 千晶 絵

小川 仁央 やく

なんにも考えないで良いんだよ

 

某コミックに連載していた[へろへろくん]をご存知だろうか。

まぁ良い意味でしょうもない笑いを誘ってくる内容で、絵のタッチもタイトル通りへろへろしていて気が抜けてしまうのだ。これを読む前までの今日がどうでもよくなっちゃうのである。

 

皆さんもたまにないだろうか?

頭使うのしんどいけどなんか軽い本読みたい、と。

是非こちらはいかがでしょう。

 

この『おさるのケーキやさん』は物語はそのままの

ただただおさるのケーキやさんがみんなへそれぞれのケーキを作ってあげちゃうお話。

表紙から解っていただけるように、もう力が抜けるのである。

この画力。なかなかではないか。

めくれどめくれど、もうこの画力なのである。

何度も絵本が手からこぼれそうになるくらい脱力してしまった。

可愛らしすぎて笑けてきて、だ。

 

ただ、さすがケーキ屋さん。

それぞれのお客さんに出すケーキのクオリティと言おうか、

オリジナリティ溢れるケーキは見ものだ。うまく特徴を捉えている。

 

それにしても画力でやられてしまう。

このワンポイント靴下があるなら全て揃えたい。

 

因みに幼稚園の子も低学年の子も、そろって「かんわいぃぃ〜vvvv」と

悶えていた。

 

いや、その君らがかんわいい。

 

可愛らしさ ☆☆☆☆☆

画力    ☆☆☆☆☆

かんわいい ☆☆☆☆☆

 

 

【おさるのケーキやさん】

安西 水丸

 

切ない


切なさーー。

そんな感情を今、あまり感じなくなってきている。

それはきっとすごく幸せなことでもあるから素敵なんだけれど。

急にこの感情が押し寄せてくるとどう対処してよいか分からないほど胸がぎゅっとなる。

 

この『ロボットとあおいことり』は壊れてしまったロボットが青い小鳥に出会い、心を取り戻してゆくお話。

いやー、切ない。

優しさとはなにかね。生きる価値とは。

なんて、柄にもなく考えてしまう。

 

絵はたくさんの鳥が描かれていたりしてカラフルなのだが

対照にロボットはどこか寂しく物悲しげな表情や色合いが印象的。

切なくとも心温まるお話なので低学年に読み聞かせるのを是非おすすめする。

 

因みに感情豊かな私の幼児の子どもは、読み聞かせて涙を流した。

 

ーーわかる、解るよ。君には届き過ぎたね。

 

読み聞かせ  ☆☆☆☆

読み応え   ☆☆☆☆

切なほっこり ☆☆☆☆☆

 


【ロボットとあおいことり】

デイヴィッド・ルーカス

なかがわちひろ 訳

多様性


もうしんどいけどね、この言葉だけに関しては。

多様性は良いと思うし、素敵やと思う。

ただ、良い言葉のはずなのに

“え?それは多様性ではないのでは??”と思うような子や輩がいるから、もやもやしてしまう。

なぜだか本来の意味とは違う認識をしている人ほど「多様性」を使い主張する。

かと思えば、本来の使い方をしている人に対して

全く見ず知らずの人があーだこーだ言うのも理解がし難い。

 

みんな、自分以外の人の人生をとやかく言うのがお好きなようで。

そんな時間があれば外に出てウォーキングのひとつでもすれば良いのに。

 

この『ちっちゃくたっておっきな愛』は

キリンのことが大好きなネズミがキスしたくて色々チャレンジしてどうにか首の長いキリンの顔まで近づこうと頑張るお話。

 

小さなねずみの表情は豊かで可愛らしく、

縦長の本で仕掛け絵本になっているので読み聞かせつつ遊ばせながら話していくと楽しいと思う。

ほのぼのしていて寝る前の読み聞かせにはバッチリだ。

 

幼稚園の子どもはキャッキャ言いながらめくるのを手伝ってくれたし、

低学年の子は「好き好き同士で良かったねぇ〜v」と照れながらも応えてくれた。

 

お互いに想いやりがあったら、どんな困難も乗り越えられるんだと訓えられた一冊だった。

 

可愛さ ☆☆☆☆

遊び心 ☆☆☆☆

多様性 ☆☆☆☆☆

 

 

【ちっちゃくたっておっきな愛】

ジーン・ウイリス  作

ジャン・ファーンリー  絵

金原 瑞人  訳 

当たり前じゃねぇからな!

 

某お笑い芸人さんが放った言葉。

少し前までこのフレーズで色々な人が笑いをとっていた。

確かに私も笑ったが、根っこの部分は本当は笑えないのだ。

 

この『わたしはひろがる』は、人は成長するにつれてたくさんの異なる経験・思考・想いを糧にして“自分”というものが出来上がっていくことを伝える話。

少々、低学年には真意が伝わるかどうか難しい絵本ではあるが

一度読み聞かせても良いのではと思う。

 

人ひとりの人間が出来上がっていく中で、人間の核みたいなもんを沢山の経験を経て造り出していくのはきっと、独りじゃできないだろう。

そして自分の世界が広がっていくのだ。

だから『わたし“は”ひろがる』というタイトルなのは、深い。

 

読み応えはばっちりで且つ、読み聞かせた後に

「今、こうして雨風しのげる屋根のあるお家があって、温かいご飯も食べられて、温かい布団があって…これは全て“当たり前”じゃないんだよ?」とお話をした。

解ったかどうだか、感情豊かな幼稚園の子は目をうるうるしながらも「うん」と一言だけ呟いた。

 

自分でも思う。

この先、なにかあるかもしれない。

でも間違いなく今は、当たり前のような幸せを“当たり前じゃない”と言い聞かせながら幸せに生きている。

生きていく。

 

読み応え ☆☆☆☆☆

訓え   ☆☆☆☆☆

深み   ☆☆☆☆☆

 

 

【わたしはひろがる】

岸 武雄・作 長谷川知子・絵

猫に救われる日


猫が狂おしいほど好きなわけではないが。

よく動画で猫の可愛い失敗や焦ってる姿を目にすることがある。

確かに可愛い。猫好きが増えるわけだ。

 

この『アブないニャン!』はーー・・・

物語は全く意味が解らない。いや、分かるんだけど解らない。

表紙の猫の顔に注目。そして縦向きであることにも着目していただきたい。

数ページが縦というパターンはよく見るが、全ページ縦も珍しい。

ただピンクの猫のやることが可愛い。そしてSFであり壮大でファンタジー

確かに縦で見るほうが迫力が増した。

 

これは・・・著者が見た夢だと思う。(そう思おう)

是非猫好きな方は観て。なんせ可愛いから。

こんな私でもこのピンクの猫が存在するなら一度よしよししてみたい。

そしてこの猫の強運にあやかりたい。

 

猫に救われる日は近い。

 

朝、幼稚園に行く前に子どもが読みながら叫んでる。

「あぶないニャン!!」「だいじょぉうぶニャン!!」

このフレーズがかなりお気に入りなようだ。

 

可愛さ        ☆☆☆☆☆

壮大さ        ☆☆☆☆☆

だいじょうぶニャンさ ☆☆☆☆

 

 

【アブないニャン!】

オツハタ ケイコ