嘘をつくとバレる。
もうそれは世の中の真理だ。
何度子供の頃に隠し事をしたことか。
なぜだかバレるのである。
この「おししゃべりなたまごやき」は
王さまが内緒にしたいことをおしゃべりな卵焼きにバラされてしまうというお話。
この絵本は私が小学生の頃に読んだ本で
誰もが一度は目にしたであろう大御所の絵本である。
これはすごい教訓の絵本だと思っている。
“隠し事はどうやっても最後まで隠し通す事はできないのだよ”と言うこと。
どこで誰が(なにが)あなたを見ているか分からない、という恐怖さえ覚えてしまう。
だがしかし、私が今思うことはそこではない。
この王さま、読んだ方になら解るだろうが
ほとんどのことがどうでもよく毎日が同じことの繰り返し。
それを何年してきたのだろうか。
そう思うと酷である。
敷地は広いだろうがきっと城から出てはいけない。
勉強が終われば自由だがそれも“王さま”の中だけの自由。
何気なく見ていた表紙だが、
鳥小屋いっぱいのニワトリを見ている王さまの背中が
なにか物語って見えるのは気のせいだろうか。
きっと自分を観ているような気持ちなのかもしれない。
後ろめたさを抱えたまま過ごす時間は
思っているより長く感じる。
間違いや失敗は誰だってある。そうやって学んでいくはずなのだ。
だからこそなるべく早く、素直に謝ったり正しいと思う行動に移して
生きたほうが何倍も楽で楽しいのだ。
そんな事を思わずにはいられない一冊だった。
因みに子ども達は
「たまごやきがしゃべってるぅ〜!」とケラケラ笑っていた。
・・・隠し事をしたい時期もあるだろう。家族にはそれも良い。
ただ生命に関わる事だけは、他者が関わる事だけは
素直に教えてほしい。
笑い合ってる子を見てそう想うばかりだ。
読み応え ☆☆☆☆
共感 ☆☆☆☆
王さまの苦悩 ☆☆☆☆☆
【おしゃべりな たまごやき】
寺村輝夫 作 長新太 画