某歌手の、歌に
「思い出がいっぱい詰まった景色だって
また破壊されるから出来るだけ執着しないようにしている」
という歌詞がある。
私自身、幼少時代は転勤族で記憶のないうちに2回引っ越しをしていて
記憶あるうちに1回の引っ越しをしている。
覚えている場所は多くはないがそれなりに自分の住んでいた家や街や公園を懐かしく思う。
それでも帰ると劣化か、時代か。
いろんな建物がなくなり
新しい建物が建っている。
私が思い出と共に、匂いと共に
記憶している街並みがどんどん変わっていくのだ。
それはとても寂しい。
決して街がなくなったわけじゃないのに
どこか物悲しく思えてしまう。
この『つみきのいえ』は
浸水していく街の中でおじいさんが
自分の家を積み木のように上へ上へ造り続けていくお話。
最愛の奥さんを亡くしてしまったおじいさんが
水の中の家々を巡る中で思う事とはーーー。
絵のタッチは柔らかく優しい色合いでなんとものほほんとしている。
おじいさんの人生の全てが詰まった“家”を
大切にする姿は温かくも苦しい。
観ていて胸が張り裂けそうだ。
でもなんとかこの絵のほっこりさに助けられている。
そりゃ出来るだけ執着しないようにしたい。
だがなかなかどうして。
大切な思い出と共に
大切な“場所”は譲れない。
子どもたちが大きくなって家を出て
二人には広すぎるこの家をもし離れる日が来たなら
私は号泣して動けないだろう。
なぜなら沢山の思い出がここにあるから。
この家をこの場所を、
この一緒に生きた軌跡を
なくしたくない。
・・・めちゃくちゃ執着してるやん(笑)
だからこそ、一日一日を
家や場所と共に
大切に楽しく
過ごしていこうね。
優しさ ☆☆☆☆
ほっこり ☆☆☆☆
大人は泣く ☆☆☆☆☆
【つみきのいえ】
絵・加藤 久仁生 文・平田研也